あくつけき

日記みたいな

Miserable

薄手の赤いニットにレザーを羽織る。肌に痛さを感じない気温に郷愁を覚えながら、向かった建物の屋上に人が立っている。幻覚。5年以上付き合ってきた男。彼が立つ建物は何階建てなのだろうと窓を数える、1、4。しまった、と思う頃にはもう屋上に人はいない。

 

鉄の格子戸が閉じられている。大学の正門が閉じるのは大学が休みである時。そして、天候のため休講になった時。昨晩から今朝にかけては随分と風が強かった。しかし、暴風警報とはそこまで簡単に出るものではない。奇妙だ、正門の横の関係者通用口を通り抜け建物の中に入るもやはり警備員くらいしかいない。

 

「今日は、暴風警報でも出たんですか?」

「はい?」

「いや、暴風警報で休講になったから人がいないのかな、と」

「今日は祭日ですよ??」

 

それは頭になかった、と携帯代わりにPCを開くと、やはり今日は勤労感謝の日だった。こんな大切な日を忘れているだあなんて、なるほど、他人に対する感謝の気持ちをすっかり失くしてしまっているということなのだろう。

 

せっかくだからと久しぶりに大学構内を散歩した。落ち葉が多く、踏みしめた柔らかさに久しぶりの季節を感じた。

 

 

 

miserablegrl.bandcamp.com

BandcampでMiserableというカリフォルニアのシューゲイザーを4$で買った。ノイズの柔らかさ、ノスタルジーすら感じる軽い疾走感のあるメロディーに

「こういうのでいいんだよ、こういうので」

なんて孤独のグルメのセリフが出てくる。

 

 

miserableの意味は「惨め」であっていたかな、と検索をかけてみると、表示されたのは「悲惨な」という文字だった。

 

言葉の持つ本来の意味というのは、いったいどちらが近いのだろう。この家には英英辞典すらないのか。