読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

あくつけき

日記みたいな

タイトル無し

初めて「恋心」というものを抱いたのは20歳の時だった。高校の時点で彼女はいたし、「あ、俺この娘のことが好きなのだ」と思う相手はいたが、20歳の時に偶然出会った〈ソレ〉は今までのものと明らかに一線を画していて、「ああ、恋心とはこういうものなのだ」と、初めて理解した。

 

それから六年ほど経ち、現在、明確な恋心というものを抱えた相手が、俺には4人ほどいる。その人達は頻繁に会うことはなくとも、自分の心の中に残り続けている。とても大切な人達。

 

その中でも、比較的交流が深かった人物が、完治することのない、難病を患った。昨日は、病院へと見舞いにいった。「入院中は暇だから」、と頼まれた本も持っていった。語られた病気の内容に絶望した。悲しいのは彼女自身のはずなのに、思わず冷静さを失ってしまう程度に狼狽した。「悲しいのは彼女なのだから優しく振る舞わなければならない」と思いつつ、いつもの軽口が叩けなかった。

 

不幸中の幸いか、すぐさま死に結びつくようなものではなかった。

それでも、若い女性にすればあまりに制約の多い病だった。天災みたいだと思った。

 

俺は、彼女よりも優しい人間を知らない。よりにもよって、と、思った。

 

今まで、優しくされてきたから、彼女にはとりわけ優しく接してきたつもりだった。でも、彼女から何かを求められた経験はあまりなかったしこれからもあまりない気がする。彼女に何か、してあげられることはないのだろうか。とりあえず、次に渡す本何がいいだろう。いかんせんこの部屋には暗い本しかないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「医療費とか制限とかいろいろあるけどそれでも結婚…」

「ゴホッ(遂にプロポーズか!?そっちからさせるつもりなかったのに!?)」

「してくれる人探さないとなー」

「あは、あはははは。(おかしいな、いつもなら"ここにいるじゃん!"くらいの軽口叩けるはずなのに…なんで言葉が出てこないんだろ)」